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衛生管理コラム

第69話 HACCP/FSMS対応ペストマネジメントにおける異物検査⑤ カタラーゼテスト①

ペストマネジメント

混入経路の推定について、お話してきました。
第69、70話では、加熱の有無を調べるカタラーゼテストについて、考えたいと思います。

カタラーゼテストは、カタラーゼという酵素が、失活しているかどうかを調べるものです。
※酵素は、タンパク質でできていますので、タンパク質が熱で変性すれば、酵素は失活します。
カタラーゼは、生物が養分を分解しエネルギーを得る時、生体内にできる過酸化水素を、水と酸素に分解する酵素です。
カタラーゼが、失活していなければ、過酸化水素(H2O2)を滴下した時、酸素が泡となって発生します。

カタラーゼは、昆虫だけでなく、微生物も持っています。
虫体のカタラーゼが失活しても、腐敗したり、カビが生えたりすれば、虫体でなく微生物のカタラーゼが反応してしまいます。
また加熱されていなくても、死後数ヶ月すればカタラーゼが失活して、反応がなくなります。
そのため、カタラーゼテストは難しいという人がいます。

確かに、発生する酸素量だけを考えると、カタラーゼテストは難しいです。
しかし、カタラーゼは、あくまでも、生きた細胞(死んでも加熱されていない細胞)のみにあります。
そのため、テスト中の反応状況を観察することによって、加熱有無判定の有効な手段となります。

どのように反応状況を観察したらよいのでしょうか?
次話では、反応状況の観察の仕方について考察します。

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