TOP
衛生管理コラム

第20話 HACCP/FSMS対応ペストマネージメントのモニタリング④ モニタリングの組み方①

ペストマネジメント

防虫計画を作ったら、その防虫計画が正しく運用されているか、新しく問題が起こっていないかを確認するために、モニタリングをおこないます。
防虫計画のモニタリングは、トラップを仕掛け、トラップに捕獲された虫を調べることによっておこないます。

工場で、主に使用するのは、ライトトラップ、粘着トラップ、フェロモントラップです。
①ライトトラップ:光に誘引される飛来昆虫を、主に捕獲します。
虫の好む光で誘引し、捕獲します。粘着紙で捕獲し、その後粘着紙を調べます。
②粘着トラップ:歩行(実際は這う)昆虫用トラップ。這って移動する虫などを捕獲します。
場合によって誘引剤を設置します。狭い場所での調査にも使用されます。
③フェロモントラップ:一部の貯穀害虫用トラップ。匂いで誘引し粘着紙で捕獲します。

工場のトラップ(特にライトトラップ)設置には3つの目的があります。
1つ目は、捕獲。2つ目は、モニタリングによる環境確認。そして、3つ目は良好な環境の証拠です。

虫の異物混入は、問題箇所から侵入/発生した虫が、製造ラインの危険箇所(異物混入が起こる可能性のある場所)に近づき、製品に混入/付着することで起こります。
もし、モニタリングで、製造ラインの危険箇所で、虫が捕獲されないことを確認できれば、その危険箇所は、問題なく管理できていることになります。
これが、良好な環境の証拠です。

製造ラインの危険箇所を安全に保つためには、問題箇所の虫を減らすだけでなく、問題箇所から危険箇所へ、虫を移動させないようにしなければいけません。
そのために、問題箇所から危険箇所の間にトラップを設置して、危険箇所に近づく虫を捕獲します。

まとめます。
トラップを設置するのは、次の3条件です。
①問題箇所(虫の発生/侵入箇所):問題を解決する/見張るため。
②危険箇所(異物混入が起こる可能性のある場所):危険箇所の状況がよいことを証明するため
③問題箇所と危険箇所の間:問題箇所から危険箇所に虫が移動するのを防ぐ(途中で捕獲する)ため。

最新の衛生管理コラム 6件

ペストマネジメント
第92話 工場内に工事業者を入れる時① 工場でモニタリングをしていると、急に捕獲数が増えることがあります。 何か変わったことがなかったか訊くと、「工事が入った」との言葉を聞いたりします。 品質担当者の方の中には、製造中以外は…続き
マネジメントのヒント
第42話 食品安全で問われるもの 肉まんで有名な会社の異物混入が報道されました。 工場で豚まんのあんの中にビニール片が入っているのを従業員が見つけたそうです。 会社は、混入原因とみられる箇所を確定し、対応すると同時に、1.…続き
マネジメントのヒント
第41話 日本人の持つ「和」の強さを信じる 令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、犠牲になられた方々に、謹んで哀悼の意を表します。 また、東日本大震災で犠牲になられた方々にも、謹んで哀悼の意を表します…続き
マネジメントのヒント
第40話 小さな行動が大きく変える この所、会社の倉庫がきれいになりました。 昨年入った新人のおかげです。 洗濯場の汚れた作業着は、洗濯後いつもきれいにたたんで置かれます。 大切な道具である噴霧器はきれいに手入れされ、…続き
マネジメントのヒント
第39話 鬼滅の刃が描いた「受け継がれる力」 「鬼滅の刃」を4~5回読み返した話をしました。 鬼が永遠の命を持つのに対して、 鬼殺隊員の、限りある命、「なまみ」の身体で、鬼に立ち向かう姿に心を打たれ、 「例え、自分は死んでも、思いは…続き
マネジメントのヒント
第38話 鬼滅の刃に見る「作りこみの極み」 「鬼滅の刃」を全巻4~5回読み返しました。 読むたびに新たな発見がありました。 鬼殺隊の柱を中心とした隊員達の描写 とりわけ鬼殺隊に入るきっかけになったできごとと そのできごとを乗…続き