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第4話 思い込み①「従事者はやる気がある」その1

よりよい組織作りのために

本コラムは、よりよい組織作りのヒントを目指しています。
第4話ではリーダーを悩ませる3つの思い込の一つ「従事者はやる気がある」を見ていきます。

従事者の作業態度に覇気が無いと「君は、やる気はあるの?」と問いたり、ミスの多い部下のことを「彼はやる気が無くなっているんだよな」と評価するリーダーがときおりいます。
これは、リーダーの中にある「従事者はやる気がある」/「従事者はやる気があって当たり前」という思い込みから来ます。
人の能力は、やる気に左右されます。やる気はとても大切です。
しかし、時代は変わり、従事者のやる気に期待できない環境になってきたのも事実です。
その変化を考えます。

①文化の変化
日本人の優れた特長の一つに、「公(会社も含まれます)を大切にする精神」があります。
この「公(会社)を大切にする精神/教育」によって、明治からの躍進、戦後復興、高度成長は成し遂げられました。
しかし、戦後の民主主義教育により、個が尊重され、「公(会社も含まれます)を大切にする文化」は、徐々に影が薄くなってしまいました。

②雇用形態の多様化
昔は正社員が当たり前でした。
今は、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員など、非正規社員が増えて来ました。
ほとんどが非正規社員という会社もあると思います。
外国人労働者を雇っている会社もあると思います。
それぞれの事情を抱えた従事者全てに、高いやる気を望むのは難しいです。

③価値観の多様化
価値観とは、その人がもっとも大切と考えるもの、その人の行動に影響をあたえるものです。
昔は、「仕事が一番」という人が、非常に多かったです。
しかし、民主主義の浸透とともに、個人の価値観を一番とする風潮が強くなりました。
家族との時間、それぞれの趣味、ひとりの時間など、人それぞれ価値観は違います。

従事者全員が、同じ待遇で、会社/仕事を一番に考え、やる気を維持していた時代は過ぎました。
戦後民主主義の個人を尊重する教育で育った、立場の違う人達が集うのが現在の職場です。
「仕事が一番」という価値観を期待することは難しいです。

それでも、日本人には、遺伝子に刻まれた、高い公共意識/他者への思いやりがあります。
災害が起こっても秩序を保ち、皆で助け合い、コロナになれば手洗い・マスクの着用を徹底し、自粛し、海外から見れば驚くことばかりです。
ならば、「従事者のやる気を引き出せる」可能性を信じ、リーダーとして精進していくことが大切です。
次話では、どの様にすれば、やる気につながるかを考えたいと思います。

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